浅草寺の仲見世問題で文句があるなら坂口安吾の『日本文化私観』を読め!
日本最古の商店街とされている仲見世商店街。
そんな仲見世商店街で来年1月から家賃が16倍になると言われているのだ。
そう聞くと驚きだが、実は元々が安すぎたのである。
仲見世側は「伝統」が壊れると主張している。
そんな文句ある人に坂口安吾の『日本文化史観』を読めと言ってやりたい。
・仲見世商店街の問題
この問題は、仲見世商店街の家賃が16倍になるということで話題になっている。
これまで約10坪で1万5千円だったが、来年1月から約16倍の月25万円になるというのだ。
それでは商売ができないと立ち退くお店があり、代わりに大手のチェーン店が入り風景が変わると仲見世商店街は主張しているのだ。
しかし、これは大きな間違いであり、仲見世商店街の既得権益を守ろうとしているだけだ。
そもそも、今までの家賃が安すぎるのである。
周辺の地下相場を考えれば、むしろ安いぐらいなのだ。
それでも仲見世商店街は「伝統」を重んじて値上げに反発する動きとのことである。
・坂口安吾の『日本文化私観』を読め!
仲見世商店街の「伝統」を重んじることは正しく見える。
しかし、本当に正しいのだろうか。
もし、今回の問題で文句があるのなら坂口安吾の『日本文化私観』を読んでほしい。
『日本文化私観』で坂口安吾は「法隆寺も平等院も焼けてしまつて一向に困らぬ。必要ならば、法隆寺をとり壊して停車場をつくるがいい」と表現している。
これは、乱暴に日本文化や伝統を批判しているわけではない。
「必要ならば」とあるように、実質性を強調しているのである。
これは仲見世商店街でも同じことなのではないだろうか。
本当に自分たちが守るべきと思っている「伝統」なら16倍だろうが、100倍だろうが意地でも守るだろう。
しかし、本物の「伝統」でないなら別にあってもなくても一緒だ。
本当に必要な「伝統」なら守られるはずなのである。
それが16倍の家賃になっても同じことだろう。
仮に16倍になってチェーン店が入っても、「伝統」が大事なら景観に合ったお店にするはずだ。
仲見世商店街が言う「伝統」とは詭弁ではないのだろうか。
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・問題は東京都の怠慢
実はこの仲見世商店街の問題は東京都の怠慢だろう。
そもそも、家賃設定は低すぎたのだ。
今まで東京都に家賃を払っていたので安い家賃だった。
しかし、浅草寺が建物の所有権を買い戻したのだ。
そして、家賃が16倍にという話になっているのである。
最初から常識的な家賃設定なら問題なかったはずだ。
東京都の怠慢も問題の原因ではないのだろうか。